今日は虫や鶏の話ではなく、私がかかった卵巣嚢腫の体験記をお話をします。
この卵巣嚢腫というのは、幼児から年配の女性まで罹る可能性のあるもので、特に20~30代の女性にとってはかなりメジャーな病気らしいです。なので同じ診断をされた方の参考になればと思います。
私の場合、左下腹部に痛みを感じて町医者へ行きCTを撮ることで判明しました。左卵巣の成熟嚢胞性奇形腫。大きさは4cm程。
悪性では無いので緊急手術等の必要は無いそうですが、これがあると茎捻転を起こす可能性が高く(激痛らしい)、年齢を重ねると悪性化する可能性もあるので、体力もあり嚢腫も小さい今、摘出してしまおうと思い入院・手術を決行しました。
手術は基本、4cm未満なら腹腔鏡可能、5cm以上だと開腹手術になるそうで当然ながら腹腔鏡の方が負担も痛みも入院期間も少ないです。ちなみに私の左卵巣嚢腫摘出の腹腔鏡下手術の場合、メスを入れるのはこんな感じ↓
嚢腫を取り出す左側が一番大きく切開して3.5cmぐらい。カメラが入るヘソ上は3cmぐらい。右側のアームを入れるだけの部分が一番小さく1cmぐらい。
●入院初日(1日目)
朝入院し、昼食は普通に出ました。
午後3時頃下剤を飲みます(コップ1杯なかなかのマズさ)。しばらくするとお腹がちょっとゴロゴロ言ってきて、2時間半後に便通がありました。お腹を下す薬ですから辛いんじゃないかとドキドキしましたが、一回便通があっただけでスッキリ☆ 排便の際に若干太ももあたりがしびれた(お腹を壊した時の貧血感)だけで辛さは殆どナシ。
午後6時になるとこれまた普通に夕食が出ます。
そして7時に今度は浣腸。処置室と呼ばれる部屋で看護婦さんがやってくれます。ベッドに横になった姿勢で注入~。
浣腸初体験だったんですが、いやー凄い即効性。処置室からトイレまで徒歩30秒。ギリギリ間に合いました(笑) こちらは下剤よりもゴーゴーに出ます。でも辛さはありません。ただトイレで華厳の滝が3回程あるだけ。この華厳の滝も一度の個室で終わり、何度もトイレへ駆け込むようなことはありませんでした。その後は眠剤を処方して頂き、就寝(眠剤の効果は疑問)。
●手術日(2日目)
午後1時から手術予定。
朝10時までは水・お茶・スポーツドリンクは飲めます。それ以外は口にしちゃ駄目。10時を過ぎると水分補給も駄目なので、代わりに点滴を入れます。この時もう手術用点滴を入れちゃいます。手術用は普通の点滴より針が太く、又血管が出にくい私はなかなか針が入らない。これがね…私的には第一の関門でした。
看護婦さんが右手に3回程挑戦したものの入らず、痛い痛い。今度はドクターを呼んできて右手に挑戦しますが駄目で左手(私の利き手)に挑戦。左手も勝手の良い場所には入らず、結局ちょっと不便な内側の関節部分(普段採血する所)になんとか入りました。やっと入ったのでちょっと痛いけど我慢です。あと利き手も曲げられなくなったので不便だけどこれも仕方ない。
12時半。
右の二の腕に安定剤を筋肉注射して徒歩で手術室に向かいます。手術室ではまず背中から硬膜外麻酔を入れます。背中に針!?と聞いてギョッとしましたが、痛みは無かったです。で、その後すぐに口から麻酔を吸って、その後はもう手術が終わって病室に帰って来るまで意識はありませんでした。
術直後。
病室で徐々に意識が戻って来ます。私の場合、自発呼吸になってからも呼吸が浅かったようで、ぼんやりする意識の中で看護婦さんから何度となく「大きく息を吸って下さーい!」と肩をバッシバシ叩かれたのを覚えています。その声を聞いて呼吸することに専念。でもちょっと意識を別の所(今何時かなーとか)に持って行くとすぐに呼吸が浅くなり、すると又「息吸って!!」という声が聞こえるのでとにかく意識のあるうちは呼吸のみに専念していました。
更に時間が経って来ると麻酔の副作用で嘔気が出てきます。とにかく気持ち悪い。吐き気がするんですが何も食べて無いので何も出ません。あまりに気持ちが悪いので、夜2時の時点で背中から入れている硬膜外麻酔の点滴を止めてもらいました。ちなみにこの間、腹部の痛みは全く気になりません。ただ、右肩から胸にかけてやたら痛くてそっちの方が嫌でした。
●手術の翌日(入院3日目)
前夜は意識が飛んだり覚醒したりで殆ど眠っていません。硬膜外麻酔を切っても痛みはそんなに気にならず、それよりも体内に残った麻酔の嘔気が酷い。この辺は個人差があるそうですが、私は麻酔がガッツリ効いてしまったようで抜けるのにも時間がかかったようです。
嘔気と眩暈がひどかったですが、立って歩ければ尿道のカテーテルを抜いてくれるというので一生懸命トイレまで歩き、尿道の管を抜いてもらいました(´∀`;)
その後、硬膜外麻酔を取ったので散剤の痛み止めを処方してもらいました。腹部の痛みは強い筋肉痛ぐらい。動くと「アタタタタ(>_<)」ってなるぐらいです。それより相変わらず肩~胸にかけてが痛かったり圧迫感があったので主治医に伝えた所、手術の際に患部を見やすいように腹部にガスを入れるので、それが上に上がって来て小さな気腫になっているのだろうとのことでした。腹腔鏡手術ならではの副作用。でもこれも麻酔と一緒で少しずつ代謝されて行くので問題無いだろうとのことでした
●手術の翌々日(入院4日目)
少しずつ嘔気は軽くなって来ていますが、食べ物はあまり喉を通りません。五分粥の食事が出ますが2口ぐらいしか食べられず、売店でプリンを買って来てもらい一日をかけて1個のプリンを食べるのがやっと。
腹部の痛みは痛み止めで何とかなってます。でもまだ入浴出来ないので、部屋の洗面台で洗髪しました。こういう時、やはり個室で良かったなぁと思います。
ちなみにこの日、トイレに行こうと廊下を歩いていると必死の形相で壁に両手をついてトイレへ向かう患者さんを見かけました。まさに昨日「自力でトイレに行けばカテーテルを抜いてくれる」の言葉を受けて死に物狂いでトイレに行った私と同じ姿です。思わず心の中で「あとちょっとだぞ、頑張れ!」と叫びました。
●術後3日目(入院5日目)
嘔気もだいぶ収まり、昼食からしっかり食べられるようになってきました。この日は傷口のテープをガーゼに切り替え、シャワー浴が出来るようになりました。腹部の傷は痛み止めを飲んでいてキッツい筋肉痛ぐらいの痛み。胸と肩の痛みも少しずつですが良くなってきています。
●術後4日目(退院日)
嘔気は朝の起床時に少しありますがしばらくすると気にならない程度になります。傷口の痛みは処方された弱い痛み止めで何とかなる程度。もちろん快活には歩けませんが、ゆっくりゆっくりとなら歩けます。
●退院直後(2~3日)
退院後、2日間ぐらいは痛み止めを飲んでいましたがそれ以降は薬無くてもなんとかいけそうです。それより私の問題は麻酔の嘔気と体力の低下。朝起きた時に相変わらずちょっと気持ち悪い感が残ってます。食欲はしっかりありますが、立ち仕事は5分が限界。座っているだけでハァハァと息が上がって辛くなって来るので横になります。
●退院後(一週間)
毎日目に見えて回復していきます。嘔気ももう気にならない。退院一週間でお腹の痛みも気にならなくなるので色々仕事を開始したくなりますが、調子に乗ると翌日寝込むので要注意。私は「回復した!」と土日スーパーとホームセンターへ買い出しに出掛けて月曜日ダウンしました(^^;)
退院後の注意点は無理をしないこと。疲れたかな?と思ったらすぐに休憩します。でも動かないと回復もしないので、動ける時は動くこと。あと、重い物は術後1か月は持たないこと。当然ですが、性生活もしばらくは禁止です。 ※術後一ヶ月半の状況報告もアップしました。その記事はこちら
ちなみに。
私は左腹部の痛みで病院へ行きましたが、4cm程度の卵巣嚢腫では自覚症状が無いそうです。じゃあ何が痛かったのかと言うと、腸と腹膜が何らかの理由(過去に炎症を起こしたのではないかとのこと)で癒着していたらしく、そこが痛みの原因ではないかとのことでした。この癒着は切ってもまたくっつくらしく、そうなると通院のキッカケとなった腹部の痛みは解決しないのですね(^^;)
●手術・入院費用
今回は入院6日間・トイレ無し個室(個室の差額は保険適用外です)・高額医療費制度の「限度額適用認定証」提出で大体12万円ぐらいでした。限度額適用認定証は入院時又は入院中に提出しないと駄目だったので、入院する前に保険組合に申請して用意しておきます。これがあると無いとではかなり金額が違って来るので、これから手術を予定されている方は忘れずに準備しておくと良いです。もし高額医療費制度について判らないことがあれば、病院の事務員さんに聞いてみると詳しく教えてくれるはずです。
●手術を迷っている方へ
卵巣嚢腫は放っておいても大きくなるばかりで無くなることは絶対無いし、常に茎捻転(なったら激痛→救急車で運ばれる→緊急手術→全摘の最悪ルート)の恐怖に怯えなきゃいけないし、嚢腫が大きくなればなる程、手術の負担や術後の痛みも増すということで選択の余地なしにすぐに手術することをオススメします。